第二十二章 珠(たまき)の結末

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 ※  ※  ※ 「よし、Uターンだ」 キィー...... 『アマゾネス 朱雀』4人を乗せた車は、後部座席に陣取る『頭』の号令を合図に、180度急転回を見せた。 理由は他でも無い。 「これから我々はスパイ狩りの任に就く。写真は全員見たな。顔を頭に叩き込んどけ。 今回の任務は捕獲に有らず抹殺だ。見付次第、即殺せ。あと、もう解ってるとは思うが......」 「『玄武』に先を越させるな! ですよね」 「そうだ。知っての通り、我々『朱雀』以外に『玄武』にも同様の指示が下っている。 『玄武』は頭が死んでまだ日が浅い。油断さえしなければ、先を越される事も無かろう。お前達、抜かるなよ!」 「「「了解!」」」 『頭』である『虎子』、そして『獅子美』『豹音』『鷹奈』の4人を乗せた車は、真っ黒な樹海を横に望みながら、勾配の激しい山道を猛スピードで滑走していった。 「聖経院まではどれくらいだ?」 『頭』がハンドルを握る『獅子美』に問い掛ける。 「この時間です。掛かっても30分ってとこでしょう」 「そうか......」 『頭』はサイドウィンドウから、徐に外の景色を見渡す。 どこに視線を向けても、黒以外の色彩は見当たらない。実に単調。見ていて眠くなる程だ。 「あれ......何だろう?」 突如、『獅子美』が目を細めた。 「ん、どうした?」 『頭』が身を乗り出す。 「何でしょう......車かな? あれ? 煙が上がってるみたいですよ」 見れば確かにそれは車だった。しかも『獅子美』が言うように黒煙を立ち上げている。
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