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「う、う、う......エマさん」
見るからに苦しそうな様子。顔色から察するに、最早猶予は無かった。
「珠さん、大丈夫か?! 奴ら見事に居なくなったぞ。死んだ振りしてくれて助かったよ。うちらツーカーだな」
無理矢理の笑顔を投げ掛けるも、珠のリアクションは思いの外薄い。
まさか弾が当たってしまった?!
一瞬不安が過る。
よくよく見れば、珠が寄り掛かる大木には、エマが撃ち込んだ6発の銃弾が見事にめり込んでいた。
結構暗かったから、珠の身体に当たりはしないかと、実はヒヤヒヤだった......
まぁ、当たってないみたいだ。良かった......
「さぁ、珠さん。起きれるか? すぐに病院に連れてってやるぞ」
エマは珠の身体を優しく抱き起こした。
すると、
「う、う、......ポールさん......」
「ん、何だって?」
「ポ、ポールさん......」
「ポール?!」
思いも寄らぬ珠の言葉。ここでその名が飛び出すとは夢にも思っていなかった。
「ポールさんて......あいつ......ここに来てたのか?」
圭一とも、美緒とも、そしてポールとも、久しく顔を合わせていない。
俄にゆるむエマの頬......
それは砂漠の中にオアシスを見付けたような表情だった。
「あたしからアマゾネスを引き離す為に......自ら頭を割って、血を垂らしながら走って行った。ハァ、ハァ......」
珠は乱れる呼吸の中、息絶え絶えに答えた。
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