第二十二章 珠(たまき)の結末

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やがて足音が止まる。 「......」 「......」 無言で見詰め合うエマとその者達。 赤、青、黄、紫、緑、橙 12個の目は、全て鋭く、そして切なかった。 「『頭』、さすがです。今『頭』は誰よりも早くスパイを見付け、命令通りその虫けらを殺す所とお見受けしました」 そんな言葉を投げる『赤』 一方、エマ。 「.....」 唇を噛み締め、無言を貫く。 銃口を下ろす気配は無い。 「さぁ『頭』。早くその銃でそいつを撃ち殺して下さい。我々の見ている前で。そうで無いと...... 」 『赤』はそこまで言い掛けると、思わず口をつぐんだ。銃を握る右手に思わず力が入る。 「そうで無いと......どうするつもりだ?」 銃口は『赤』に向けられた。 一触即発。そんな空気だ。 「本意ではありませんが......あなたを処置する事になります。 『頭』...... 我々は皆、あなたの部下である事に誇りを持っています。そしてあなたと共に、死ぬまで一緒に戦って行く事を誓っています。 どうかこの気持ちを裏切らないで欲しい。そして我々に引き金を引かせないで欲しい......無理なお願いでしょうか?『頭』」 『赤』の目には溢れんばかりの涙が溜まっていた。 『玄武』の6人は、エマが土砂崩れに飲み込まれた後、生きている事を疑わず、明けても暮れてもエマの姿を探し求めていた。この数日間、殆ど誰も睡眠を取っていない。
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