第二十二章 珠(たまき)の結末

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一方『黄』は『黄』で...... 「『頭』有り難う......娘を見捨て無かったあなたの事。私は一生忘れません」 『黄』は涙を流しながら、去り行くエマの背中を目で追っていた。 その涙は...... 人間として生まれ、アマゾネスとして生き続け、そして再び人間に戻った証でもあった。 やがて、珠を背負ったエマの姿は、完全に闇の中へと消えていく。 そして、それを待っていたかのように、 『赤』はゆっくりと目を開けた。その時がやって来たようだ。 「『黄』......ありがとな」 視線を落としながら『赤』は呟く。 「『玄武』の為、『頭』の為です。致し方有りません。如何なる理由であろうと、部下が『頭』を殺せば『玄武』の取り潰しは必至。 ああするしか方法は有りませんでした。スパイを目の前にして、逃がす訳にもいきませんし...... それと......『頭』には生きていて欲しい。その気持ちにも偽りは有りません。多分......『赤』さんも同じなんでしょう?」 「まあね......半端無く度量の大きい人だから。  それより......  すまない......『黄』」 「うん......解ってる。 娘の事......宜しくね。まだ小さいし。 ちょっと生意気な所有るけど......私に似て根は優しいから。 アマゾネスにはちょっと向かないかな......」
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