第二十三章 FIELD

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 ※  ※  ※ それら4人の男女は、壁際に何となく立っていた。 正確に言うと、 若い男が1人、初老の男が1人、若い女が1人、初 老の女が1人。老若男女、特に共通点は無い。 怯えたような顔をしている者。 ニタニタと不敵な笑みを浮かべている者。 ただじっと目を瞑っている者。 唯一の共通点があるとすれば...... 皆、背後に死神を連れていると言う事くらいだろうか。 「いやぁ、皆さんは本当に素晴らしい決断をされた。まずはその勇気に敬意を表します」 パチパチパチ...... パチパチパチ...... 4人を取り囲んでいた数名の軍服男達が、白々しくも拍手の嵐に包み込む。 「......」 「......」 5人に反応は無い。魂が抜けてしまったのか? 軍服の隊長と思われる男は更に言葉を続ける。 「すでにご理解頂いている話ではありますが、皆様にはお約束通り、人殺しをして頂きます。 その対価として、見事任務を成し遂げられた暁には、皆様のこ家族にそれ相応のお礼金を支払わせて頂きます。 樹海の森から、あの世に直行なんて勿体無い。ちょっと寄り道して頂くだけで、こんなに良い事があるんですから」 隊長は満面の笑みで、意気揚々と語る。生きる事への希望を失った者に話す話し方では無い。
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