第二十三章 FIELD

6/28

366人が本棚に入れています
本棚に追加
/1040ページ
「俺は......とっとと死にたいんだ。早く任務とやらを与えてくれ。目を開けてる事すら辛いんだ......」 頭がハゲ上がった初老の男性は、苦り切った顔でボヤく。生きてる事自体が辛いのだろう。一体過去に何があったのかは知らないが...... 「まあ、そんなに焦らないで。任務を終えたら、嫌でもすぐに死んで貰いますから。 だけど......人を殺すっのって、口で言う程簡単じゃないんですよ。誰だって人殺しなんかやった事無い訳じゃないですか。 殺せるチャンスが訪れても、中々ビビって出来ないものです。人間とは弱いものですから。 この間もターゲットを目前にして、日和ったろくでなしがいます。そうなるとお互いが不幸になります。 そこでなんですが...... 皆さんにはそんな事にならないよう、ささやかなイベントを用意させて頂きました」 この男はバラエティー番組の司会者か? 目をキラキラさせ生き生きとしている。場の空気無視も甚だしい。 「イベント?......」 そんな司会者に、初老の女は怯えた表情で聞き返す。 自殺志願者を集めて、一体何のイベントを始めると言うのだ? 三途の川に足を踏み入れているような輩だけ集めて、盛り上がれるイベントなど有る訳が無い。 一方司会者の方はと言うと、戸惑う4人を置いてけぼりにして、淡々と話を進めていった。
/1040ページ

最初のコメントを投稿しよう!

366人が本棚に入れています
本棚に追加