第二十三章 FIELD

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「じゃあ何よ。私達は自殺志願者達の度胸だめしの為に殺されるって言う訳?!」 美緒の目は完全に吊り上がっている。 「まあ......そんな所だ」 博士は思わず目を伏せた。 この世の終わり......そんな表情であった事は言うまでも無い。 プシュン、プシュン! プシュン、プシュン! 相変わらず銃弾の嵐は激しく吹き荒れ続けている。しかし頭を掠めるような弾道にはなっていない。 初めて銃を扱う者達ばかりだ。銃などと言うもの、そう簡単に素人が使いこなせる物でも無い。 そう考えると、すぐ横で冷たくなっているこの屍は、よっぽどツキが無かったと諦めるしか無い。 「それだと、相手は一応みんな一般人って訳だ。だったら無闇に殺すって訳にもいかんだろう......例えばこのまま逃げるってえのはどうなんだ?」 圭一曰く。 「ダメだ。ここは『マンタ洞窟』のちょうど真上。半径1キロの円状外郭に、高さ5メートルのフェンスが張り巡らされている。逃げ場は無い。 今我々は、生物兵器の実験場のど真ん中。通称『FIELD』と呼ばれる場所に閉じ込められている状態だ。正に袋のネズミ。どうにもならない」 続いて博士曰く。 「......」 焦りを隠せない2人に対し、美緒は目を瞑り、ただ1人無言。何故か妙に落ち着いているように見える。 恐らく脳内コンピューターがフル活動しているのだろう。 ............ ............ ............ やがて、 美緒の目がゆっくりと見開かれる。 そして、 「見えた!」 そう叫んだ美緒の顔は、爛々と輝いていた。
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