第二十三章 FIELD

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振り返る事もせずに、ただがむしゃらに走り続ける若い男女。 4人がすでに2人となっている事など、前ばかり見ている訳だから気付く訳も無い。 やがて赤い影は小川を渡り、更に深い森へとその姿をくらませて行く。 バンッ、パンッ、パンッ! ピシッ、ピシッ! 走りながら撃ち放った銃弾は、赤い影の僅か頭の上を通過し、大木にめり込んだ。 「くそぉー、今のは惜しかったたな!」 先程から撃ちまくっているこの男は、もうすっかりシューティングゲームの虜と化している。周りなど全く見えてやしない。 ハァ、ハァ、ハァ...... 「もうダメ......喉乾いた」 若い女性は遂に小川の手前でヘタり込む。すでに赤い影はおろか、若い男の背中すら見えない。先頭集団からの脱落だ。 もう止めた......バカらしい。 若い女性はいつの間にやら投げやり態度。 気怠そうに小川の畔でしゃがみ込むと、両手で川の水を掬う。 ああ、美味しい...... 生き返る......
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