第二十三章 FIELD

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時刻は6時半。 一般家庭では、新たな1日が始まるその頃...... いち早く、繋がれた鎖を銃で切り落とした3人の足取りは妙に軽い。 一方それまで足取りが軽かった4人は、銃を奪われた途端、急に重くなる。 「美緒さんの思惑通りだったな」 赤い衣服の圭一曰く。 「イノシン様々ね」 同じく赤い衣服の美緒曰く。 「さっ、さぶい......」 イノシン用に衣服を奪い取られた博士曰く。 「ブヒー」 赤い衣服のイノシン曰く。 勝者の3人と1匹は、それぞれ手頃の岩に腰掛け、ほんの少しの歓談タイム。 なぜ未だここにイノシンが残っているのか? 余り意味は無い。 「とっとと殺せばいいだろう!」 「元々死ぬつもりだったんだ!」 「そうよ。早くしなさいよ!」 「この世に未練は無いわ!」 3人の前で正座させられている敗者4人曰く。 「いくら自殺しようと思ってたってね、他人から殺されるのはまた別物。怖く無い訳無いじゃない! 強がってんじゃ無いわよ!」 美緒は実体験からその言を語っている。1年前の自分が、正にそのような状況であった事を、思い出さずにはいられない。 こいつら...... 1年前の私と全く同じ...... あの時、私は死ぬ事の恐ろしさを知らなかった。 もしあの時、エマさん達に出会えなかったら...... きっと取り返しのつかない事を、してしまっていただろう......
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