第二十三章 FIELD

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よしっ! 美緒は何やら決心を固めると、ゆっくりと顔を上げた。そして和らいだ表情で語り始める。 美緒たる者...... 立場的に上位に立った時の和らいだ表情程怖いものは無い。 そんな美緒の傾向を知り尽くした圭一は、背筋に冷たいものが走る。 何か嫌な予感が...... 暴走しなければいいんだが...... そんな圭一の不安を他所に、美緒は堰を切った。 パチパチパチ...... 突然拍手を始める。 「あんたら本当に度胸あるわね。感心したわよ。あたし達なんかね、みんな臆病者だから絶対そんな事言えないわ。 そうかそうか......そんなに死にたいの......なるほどね......そうかそうか......はいはい。 よしっ解った。いい事思い付いたぞ!」 突然美緒の目が悪魔光りする。そして何やら内ポケットから銃を取り出した。 フッ、フッ、フッ...... 人間の耳には聞こえないが、明らかに邪悪な超音波を発している。 「ブヒー!」 イノシンが突然興奮し始めた理由は誰にも解らない。 まさか、いきなり撃ち殺す?! それじゃ本当に悪魔じゃねえか! いやいや......さすがにそれは無いだろう。 落ち着け、落ち着け...... もう少し様子を見るとしよう...... 1度腰を上げ掛けた圭一は、再び岩の椅子に腰を落とす。とは言え、暴走し始めたら、直ぐに押さえられる体勢は崩さなかった。 「なっ、なんだ?! い、いきなり撃つってつもりか? お、おう......上等だ! さ、さぁ、やれ! やれーって!」 若い男の勇ましい掛け声とは裏腹に、その表情は明らかに引き吊っていた。 いかなる境遇にあろうと、目の前に銃を突きつけられて、たじろかない者などは居ない。
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