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そして、
カチッ。
............
............
やはり『ハズレ』
だった。
「おえっ~!」
若い女性は、緊張が限界を超えていたようだ。『ハズレ』を引いた途端、足元は吐瀉物の池と化していた。
「汚ないなぁ......」
美緒は思わず鼻を摘まんだ。
「マジかよ.......」
途端に項垂れ始めたのは他でも無い。最後に残された若い男だった。
口には出さなくとも心の中では、弾出ろ!弾出ろ!と念じていたに違いない。
落胆の表情が、そんな卑劣な心内を露骨に現していた。きっと、それだけ追い込まれていると言う事なのだろう。
やがて美緒の視線が、ゆっくりとその者へとスライドしていく。
「ちょっと4人もお荷物が居たら、ここから脱出するの大変じゃない! 頼むからあんただけはあの世に行って。お願いだから。
確率は66・67パーセント。順当にいけばほぼ『さよなら』ね。
南無阿弥陀仏......じゃあ、始めるわよ。はい、6、5、4......」
実にぶっきらぼうな物言いだ。何かの意図があるのだろう。
そして、
『死』へのカウントダウンは開始された。
若い男は圭一の顔を見詰める。
銃口をこちらに向けて、ニヤニヤと笑っているではないか。
まるで俺に撃たせてくれ!
とでも言っているかのようだ。
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