第二十四章 焼却炉

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『GATE』 そのような文字が左上に記されたモニターには、風に揺らぐ大木の枝葉がエンドレスで写し出されていた。 1カメ、2カメ、3カメ。 それら3つのモニターに写し出された映像は、それぞれ違う角度から『GATE』を監視しているもののようだ。 閉じられた『GATE』の先...... そこが四方を高いフェンスで囲まれた『FIELD』である事は言うまでも無い。 「あいつら一体何やってんだ? もうかれこれ3時間も経つじゃねえか」 「全く4人も揃って何手間取ってやがんだ。無抵抗な赤い『的』に当てるだけじゃねえか。これだから素人は困るよ」 『GATE』の監視役を命じられた2人の守護兵隊は揃って夜勤。 とうの昔に朝日は昇っているのに、未だこの職場から離れられない理由は他でも無い。 鉛の玉を繋げられた赤い『的』を、銃で辻斬りに行った4人が帰って来ないからだった。 4人が帰って来なければ『GATE』にロックを掛けれない。ゲートにロックを掛けて、初めて『お疲れ様』と言える決まりだ。 経緯はともあれ、『FIELD』に出て行った4人は大事な殺人実行犯。 最近は樹海での自殺志願者もめっきりと減り、それら人材を確保するのも難儀を極めていた。 スーパーのパートでも有るまいし、新聞の折り込み広告で募集する訳にもいかない。組織にしてみれば、悩みの種であることは間違い無かった。 「おや、戻って来たみたいだぞ!」 一人がモニターを見詰めながら、心を踊らせる。 「おう、やったやった。1、2、3、4人......間違い無い。無傷のご帰還だ」 3つのモニターに写し出されているのは、若い男と女、初老の男と女。ここを出発した時と同じ4人の男女だった。
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