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「ここに居ると殺されるから、外で隠れてろ!って言うのは解るんだけど......なんで私達の服持ってっちゃうわけ? ダンボールが落ちて無かったら今頃凍死してるわよ」
若い女性が、再び吠える。
1月の中旬ともあれば、極寒の季節。服を剥がれて外に出れば寒くて当たり前だ。
「まあ、あの3人が迎えに来てくれるのをゆっくり待つとしよう。1度は死んだ身だ。失うものは無いしな」
「......」
「......」
「ブヒー!」
『FIELD』の片隅で身を寄せ合う3人と1匹。
ここから逃げ出そうにも、四方に張り巡らされた高いフェンスがそれを許してはくれない。
それまでは自殺志願者だったこの面々......
しかし今は違った。
『死ぬ事を考えてる暇があったら、死ぬ気で生きる事を考えろ!』
美緒の切った啖呵が、未だ頭から離れない。
信念が宿った言葉には、人の心を動かす力が有り、優しさが込められた暴言には、人を変える力が宿っていた。
マリアの心を持ったエマ。
阿修羅の心を持った美緒。
着ている衣は違えども、衣を剥ぎ取れば、そこに現れてくるものは揃って『優しさ』だった。
そんな優しさに触れた4人の背後には、もはや死神の姿は見えなかった。
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