第二十四章 焼却炉

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やがて残された圭一、博士、若い男は守護兵に背中をライフルでど突かれながら、一番手前の牢屋へと押し込まれていった。 ギー、ガシャン。 扉は乱暴に閉じられ、直ぐ様頑丈な鍵が掛けられた。どう見ても力業では壊れそうにも無い。 広さにして8畳位だろうか。3人の大人が、寝てても起きててもこの中で過ごすとなれば、窮屈この上も無い広さだ。 冗談でも『オクション』などとは言って欲しく無い。 明かりと言えば、中心にぶら下げされた裸電球1個のみ。その明かりは、3人の影をゆりカゴのように揺らしていた。お化けでも出そうな明るさだ。 因みに奥に便器があるようだが敷居はおろか、衝立すら無い。 一応女性が居る設定なんだがな...... 中身は博士だから関係無いか...... そんな初老の女性こと博士は、部屋に入るや否や便器に駆け込み、立ったままズボンのジッパーを開け始めた。 「あんたはバカか?」 「えっ、なにが?......」 圭一は視線を牢屋の外に向けた。つられて博士の目も圭一の視線の先を追う。 見れば3人の守護兵が牢屋の前で、特にする事も無く、ただウロウロしている。多分90分は『監視室』に入れず、この辺りを徘徊しているのだろう。 「おう、そうか! いかんいかん」 博士はやっと女性である事を思い出したのだろう。がに股で便器に腰掛ける。実に品が無い。
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