第二十四章 焼却炉

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続いて圭一の視線は、博士から若い男に向けられた。そして口を開く。 「おい、若いの。一応確認だが、この牢屋のどこかに間違い無く子供が居るんだな?」 圭一の顔は真面目だ。全ての行動は、この若者の『牢屋には子供が居る』と言う発言から始まっている。 それが怪しいともなると、こうして3人が牢屋に閉じ込められている事も、美緒が決死のハニートラップを仕掛けている事も、全てが無意味となってしまう。 「間違い無い。あんた達の言ってるおかっぱ頭の小さな女の子供だった。俺達が『FIELD』に駆り出された時、ちょうど入れ違いで戻って来てた。 ここの前を通過して行ったから、多分そこのカーブの先の牢屋に居るんじゃ無いか?」 若い男は、いかにも自信有り気な口調で快活に語る。さぞかし自信が有るのだろう。 「そうか......宜しい」 圭一は安堵の表情を浮かべて、胸を撫で下ろす。 時刻は9時。 タイムリミットまではあと7時間。 ももはもう手の届く所までに迫っている。しかし鉄格子、そして銃を持った守護兵が、その手をももに近付かせてはくれなかった。 気持ちばかりが焦る......しかし今はただ待つ事しか出来なかった。 とにかくももの身柄さえ確保出来れば...... あとは美緒さんの知力と自分の攻撃力で、何とかなるような気がする。 この時圭一は、もも救出に確かな手応えを感じていた。 しかし...... この後、美緒の描いた『設計図』に取り返しのつかない大誤算が生じる事となる。
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