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※ ※ ※
「先生、あれはなんでしゅか?」
窓の外に見える棒状の建築物を指差すもも。
先生と呼ばれたメガネの中年女性が、ももの問い掛けに笑顔で答える。
「あれはね、煙突って言うのよ。一番上の所から少し煙が出てるでしょう。昨日の『ゴミ』を燃やした時の煙がまだ残ってるのね」
「へえ、ゴミ燃やしてるんでしゅか。何の『ゴミ』なんだろう?」
ももは、ちょこんと首を曲げる。
「今日の夕方になれば、また燃やすから解るわよ。メラメラメラメラ燃えて、とても面白いのよ。あなたもきっと気に入ると思うわ」
「そうなんだ。もも楽しみ!」
「......」
『焼却炉』
それは『マンタ洞窟』の最北端。僅かながらに地上が望める唯一の場所だ。
今美緒達が居る『牢屋』からは果てしなく遠い。
敵を薙ぎ倒しながら、時間内にこの場所にやって来る事はもはや不可能と言えた。
7時間......残念ながらそれは絶望的な数字と言わざるを得ない。
美緒達は知らなかった。
『ピクニック』を前にして、早朝ももが別の場所に移動させられている事を......
それは正に致命的と言えた。
おかあさんに早く会いたいな......
先生が明日には帰れるって言ってた......
おかあさんに会ったらいっぱい甘えちゃおう......
もも楽しみ。
えへっ......
屈託の無い笑顔は今日も健在だ。
しかしそんなももの笑顔......美緒達が7時間以内に救出出来なければ、それが見納めとなる。残酷な話ではあるが......
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