第二十五章 絶望への道程

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「警備体制に変更は無いわね」 突然話を変える龍貴。秀樹の解説などには興味が無いようだ。 「ああ......大丈夫だ。予定通り19時。警備に変更は無い。山ほど間者を潜り込ましてるから変われば直ぐに解る。あとはあんたらの出番だ。宜しく頼むぜ」 2人の話題が一気に変わったその時だった。 ガタガタッ! ゴトゴト! 突如、大きな震動を伴う爆音が『マンタ洞窟』内に響き渡った。 テーブルの上に置かれたワイングラスがガタガタと揺れる。 「なんだ? ネズミが騒いでるようだな」 秀樹はワイングラスを手に取りながら、他人事の如く語る。 「ネズミかしら......すぐに駆除しないと始末が悪いわね」 龍貴は目を細めた。 「『富士国』に乾杯!」 秀樹はグラスを掲げる。 「『軍事大国日本』そして『新総理』に乾杯」 龍貴も秀樹にならいグラスを掲げた。 1月30日。 『トロイの結末』と名付けられたその日まではあと5日。 『富士国』そして『新党富士』は一体何を仕出かそうとしているのか...... それは想像を絶する一大イベントに他なら無かった。
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