第二十五章 絶望への道程

9/52
前へ
/1040ページ
次へ
カシャ。 やがて頑強な牢屋の鍵は、意気地を無くした守護兵の手に寄って程なく開けられた。 「美緒さんでかしたな。それと......身体は......大丈夫か?」 美緒の身体を安じる圭一の顔は、心配顔と言うよりかはむしろ、申し訳無い......そんな表情だった。 他に打つ手が無かったとは言え、美緒はまだ結婚前の列記とした乙女だ。 自分が付いて居ながら、美緒さんにまたしてもハニートラップなんかやらせちまって...... 健介の時は正直何とも思わなかったが、今回はどうしても『もやもや』が収まらん...... 俺...... もしかして...... あの守護兵に...... 嫉妬してるのか? んな、バカな! 何でこんなじゃじゃ馬に。 有り得ん! いかん、いかん。 今はそんな事考えてる場合じゃ無いだろ。タイムリミットが迫ってるんだ。 頭を切り替えんといかん! 一方、 美緒の方はと言うと、 決して男性経験が豊富と言う訳では無かった。更に言うと、筋金入りの一途さを誇る。 そんな美緒が、見ず知らずの男に抱き付くなどと言う荒行は、正に苦肉の策と言っても過言では無い。 なんか.....頭の中から『もやもや』が取れない...... 圭一さん...... 守護兵と二人で『監視室』に入って行った私の身体の事、心配してくれてたんだ...... そっか......
/1040ページ

最初のコメントを投稿しよう!

366人が本棚に入れています
本棚に追加