第二十五章 絶望への道程

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「完璧だね美緒さん!」 「これが有れば万人力。さあ......行きましょう!」 4人は一気に躍進。ももを救出すべく、軽い足取りでその場を走り去って行った。 間も無く、待ちに待ったももとの再開を果たせる......心踊らせる美緒だった。 探偵...... 母親...... そして何よりも...... 一人の女性としての美緒がここには存在していた。 目の前には、広くて厚く、そして誰よりも自分を心配してくれる圭一の背中が躍動している。 圭一さん...... 実は私、 あまりピンピンしてないかも...... 言って無かったけど...... 『監視室』に入るや否や、 強引にキスされたんだ...... でもね...... 私は平気。 なぜなら今の私の身体は...... 私の身体であって私の身体じゃ無いから...... 唇も...... きっと私の唇じゃ無かったんだと思う。 少し落ち着いたら、 この汚らわしいゴム脱ごう...... 忌々しい...... そんな表情を浮かべる美緒だった。 さぁ、もも! 今見付けてあげるからね! 美緒は邪念を払い、『設計図』の完結に向けて集中力を増していった。 『マンタ洞窟』の最西端...... 守護兵庁舎のすぐ横に位置するこの牢屋群で、もし騒動などが勃発しようものなら、武装した守護兵が直ぐにでも群れを為してなだれ込んで来る。 今この『死地』に居る事自体が、大きなリスクと言えた。
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