第二十五章 絶望への道程

13/52
前へ
/1040ページ
次へ
「今朝方までは間違いなく居たんだ! おかっぱ頭の目がクリクリした5歳位の女の子だろう。 俺が居た牢屋の前を通って、奥の方へ連れてかれてたんだ。この先は行き止まりだ。間違い無い! それから俺は『大作』って名前だ。『若造』は止めてくれ。父親から散々そう呼ばれて、虐待を受けて来たんだ。思い出したくも無い......」 大作は肩を震わせて必死に訴え掛ける。家庭内で、どのような扱いを受けていたかは解らないが、きっとトラウマになっているのだろう。 「娘さんって......もしかして桜田桃って名前?」 突然博士が会話に割って入った。 そう語った博士の目は、10号室と書かれた牢屋の脇にぶら下げられた札に向けられている。 「「まさか?!」」 美緒と圭一の二人は、カタカタと揺れるその札を直視した。 『桜田桃♀6歳』 それにはそのように書かれていた。 「「やっぱここに!」」 「だからそう言ってんだろ!」 ①牢屋に掲げられた『桜田桃』の名札 ②今朝方までここに居たと言う大作の証言 ③今日の17時にももが殺されると言う博士の証言 ①+②+③= その答えは、 『今朝方まで、この牢屋に閉じ込められていたももは、今日17時に行われる処刑の為、別の場所に移動させられた』 と言う事になる。
/1040ページ

最初のコメントを投稿しよう!

366人が本棚に入れています
本棚に追加