第二十五章 絶望への道程

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そして、 ①果てしなく広い『マンタ洞窟』 ②ここには完全武装した兵隊が無数に屯している。 ③そして居場所の手掛かりまるで無し。 ④更にはタイムリミットまで残りたったの7時間 ①+②+③+④= その答えは、 『どう足掻いても、救出不可能』 小学生でも解ける簡単な足し算だった。 美緒の頭に描かれた『もも救出の設計図』が、ここに来て暗礁に乗り上げた事を実感させられる。 そして逃れようの無い重い空気が、密閉された空間に蔓延し始めたその時だった。 「ちょっと待っててくれ!」 途方に暮れる皆を他所に、圭一は突然体を翻し、鬼の形相でツカツカと歩き始めた。 絶望的な情報しか舞い込んで来ないこの状況に、さすがの圭一も一本切れてしまったのだろうか。 自他共に認める平成の怪力男たる圭一...... 滅多に暴走する事は無いが、暴走するとかなり厄介な事になる。 そんな圭一が向かった先...... それは...... 守護兵達が屯す牢屋『1号室』だった。 デンジャラスな空気が立ち込める中、 カツカツカツ...... カツカツカツ...... 静まり返った空間に圭一の足音は響き渡っていく。 カツカツカツ...... カツカツカツ...... 何か雲行きが怪しくなって来たぞ...... まさかこっちに火の粉が飛んで来るのでは?...... 不穏な空気に身体を硬直させ、足音が近付く度に緊張感が高まっていく守護兵達だった。
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