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「うわぁ、何かこっちに向かって来るぞ!」
「何だか顔めちゃくちゃ怒ってるし!」
カツカツカツ......
カツカツカツ......
カタッ。
やがて足音が牢屋の前で停止した。
そして、
ガチャッ。
鍵が開けられた。
「ひえー!」
触れ合いコーナーのウサギの如く、角に小さく固まる5人の守護兵達......
丸腰相手に銃を持っている時だけは、大殿の如く振る舞う彼らも、いざ立場が逆転してしまうと、その様子はまるで『まな板の鯉』。口をパクパクさせる事くらいしか出来なかった。
やがて圭一は、一人の守護兵の襟首を、
バサッ!
乱暴に掴み、締め上げる。
「なっ、何なんだよ!」
白羽の矢が立ったのは他でも無い。美緒と共に『監視室』へとしけ込んだリーダー守護兵だった。恐れ戦くその声は、完全に裏返っている。
バコンッ!
何を思ったのか?
圭一は挨拶替わりに、いきなりフルパワーで顔面を殴り付けた。
「グエッ......」
奇妙な呻き声を上げると同時に、口の中から血が吹き出す。口の中がザックリ切れたのだろう。
「いいか、お前が死んでもあと4人居る。俺が満足する答えを聞けるまでは、永遠に殴り続けからな。死んだら次は隣だ。
いいな......それじゃあ始める。
今朝方まで奥の牢屋に居た少女は、今どこに居るんだ?」
圭一の発する声は、低く、太く、そして恐ろしい程に静かだった。
「しょ、少女だって?!」
守護兵が必死の形相で声を上げた。
すると、
バコンッ!
今度は正面からの一撃だ。
「グエッ!」
見れば守護兵の鼻は完全に潰れている。大量の血が鼻から滴り落ち始めていた。
「質問しているのは俺だ。何でお前が俺に質問するんだ」
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