第二十五章 絶望への道程

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あの守護兵達......決して善人では無いが、根っからの悪人にも見えない。恐らくただ使われているだけなのだろう......あそこまで殴られると、さすがに哀れに思えてくる。 そもそも普段冷静沈着な圭一さんが、あそこまで自分を見失うに至った原因は、自分が行ったハニートラップにある。 やっぱ、もうあの手を使うのは止めよう...... 私、別に美人じゃ無いし......上手くいっても、何か妙に虚しさが残る。 でも、 ちょっと嬉しかったな...... 圭一さん、私の事であんなに怒りを露にしてくれるなんて...... 殴られたのは痛かったけど、それで帳消しだ...... 美緒はこの事に関して、これ以上圭一に言葉を発する事は無かった。 「たっ、大将! 大丈夫ですか?!」 「今医務室に運んであげますからね。頑張って下さい!」 4人の守護兵達は、目の光が消え掛かっているリーダーの身体を、両サイドから支えて立ち上がった。 そして今にも牢屋から飛び出そうとしている。 「お、おい! 牢屋から出るな! 撃ち殺すぞ!」 血相を変えて銃口を向ける大作。 それに気付いた美緒は、 「大作、構わないよ......行かせてやれ。あたし達は別のルートから焼却塔とやらに向かう。さぁ、こっちだ」 別ルート? 果たしてそんなものは一体どこに? 博士は首を傾げた。 長くこの『マンタ洞窟』で活動している訳だが、別ルートがある話などは聞いた事も見た事も無い。 ここは『マンタ洞窟』最西端のはずれだ。 どこへ向かうにも、兵隊が溢れ返る兵庁舎を抜けなければならない立地となっている筈だが? この時、美緒の頭の中には、すでに新たな『設計図』が出来上がっていた。 『道なき道を行け』 『設計図』の冒頭には、このように書かれていた。
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