第二十五章 絶望への道程

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プシュンッ! 「うわぁ!」 突如博士が床に転がった。 「たっ、大変だ! 博士が撃たれた!」 血相を変えて怒鳴り狂う大作。 見れば、博士の胸からは、血が吹き出している。 「うっ、うっ、うっ......」 苦しみ悶える博士。すでに虫の息だ。 「大作、いいから構わずに撃て! 奴らをとにかく近づけるな!」 咄嗟に美緒が声を上げる。 「わっ、解った!」 バンッ、バンッ、バンッ! 所詮は多勢に無勢。兵士達は数にものを言わせ、その距離をどんどん詰めて来る。 ドドドドドッ! ドドドドドッ! 激しい銃声と共に、足音も一気に近付いて来た。 ダッ、ダッ、ダッ! ダッ、ダッ、ダッ! 「ダメだ! このままじゃ俺も撃たれちまう。一体どうすりゃいいんだよ!」 大作は涙目で訴えた。たった一人で押し寄せる敵の波を、到底抑えきれるものでも無かった。 「よし大作。残念だけど博士はもうダメだ。撃つの止めてこっちへ来い。扉閉めろ!」 見れば博士はその動きを完全に止めていた。すでに事切れている事くらいは、遠目に見ても明らかだった。 「りょ、了解!」 ピシッ、ピシッ! その間にも、銃弾は嵐のように襲い掛かって来る。ここに陣取っているのも、もはや限界だった。 大作は言われるがまま、美緒と圭一の元へと四つん這いで戻って来た。
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