第二十五章 絶望への道程

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「富士サミットか......」 「世界の首脳が雁首揃えて一体何話すんだろうな?」 「まぁ、俺達弱小市民には、関係ねぇ話だろ。どうでもいいわ」 マスターの忠告が全く耳に入っていないようだ。2人して畳に寝っ転がり、食べてすぐ寝る牛と化していた。 もし今、彼らが望むようにアマゾネスが乱入して来たならば、秒殺の憂き目に合う事間違い無しだ。 何言っても無駄だな...... マスターは2人に背を向け、1人テレビに注目している。牛よりも、富士サミットの方に興味があるのようだ。 画面を見れば、再びキャピキャピ女子アナの顔がアップで映し出されている。この娘の売りは、しゃべりよりも顔なのだろう。 『さぁ、今私はホテルのロビーにやって参りました。まるでヨーロッパの古城に来ているみたいです。 高い吹き抜けの天井に大きなシャンデリア......何だか自分が王妃になったような気分になっちゃいます。 それと何と言っても一番目を引くのがこの巨大な絵画です。カメラさん映して下さ~い』 するとテレビ画面一杯に、1枚の絵画が映し出された。 中世ヨーロッパの街並みを描いているようだが、あちこちに火の手が上がっており、中央付近には何やら大きな馬のような物が描かれている。
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