第二十五章 絶望への道程

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 ※  ※  ※ バコーン! 「「「のうわぁー!」」」 「落ちてるー!」 「死ぬー!」 「落ちたみたいね」 仕掛けたダイナマイトの炸裂と共に、『監視室』の床が抜け、自然落下を始めたばかりの美緒、圭一、大作の3人だった。 床にダイナマイトを仕掛けた訳だから、床が抜けるのは当たり前。 床が抜ければ落ちるのも当たり前。 しかし洞窟の中で、床から30メートルも落下するのはちょっと当たり前では無い。 一体、この建物の設計者は何を考えているのだろうか。遊び心にしては質が悪い。 「「「ひえー!」」」 美緒、圭一、大作、机、棚、椅子、テーブル、冷蔵庫、ベッド、便器...... 有りとあらゆる物が、万有引力の法則に乗っ取り、地球へと吸い寄せられていく。 そして...... バシャーン! 身体が急に冷たくなったかと思えば、なぜか得たいの知れない魚が目の前を通過して行く。 ブクブクブク...... ブクブクブク...... ここはどこなんだ? 無数の魚。 目の前を覆い尽くす泡。 なぜか浮いている身体。 そして、 ゴンッ! 頭に落ちて来る冷蔵庫。 「「「水の中だ!」」」 建物の中こそは近代社会。しかし、一歩外に出てしまえばそこは大自然の宝庫。 そして今、3人が浸かっている水の正体......それは地底湖に他ならなかった。
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