第二十五章 絶望への道程

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「つまり......失敗作って事ですか?」 「まぁ、ある種失敗作とも言えるんだろうが、自らの意思を持っちまったのが何体か居てな。そんで研究棟の外に逃げ出したって訳だ。 群を抜いた狂暴さに加えて頭がいいときてる。我々人間にはもはや手に負えんよ。とにかく縄張り意識が強くて、自分のテリトリーに入った者は必ず殺す。 牢屋の守護兵の話じゃ、下に降りた連中は最北の『焼却棟』まで行こうとしているらしい。  あそこまで行くには『突然変異』のテリトリーを幾つも通らにゃあならん。 仮に運良くテリトリーを抜け出たとしても『マンタ洞窟』の最北端は、今アマゾネス最強の『白虎』が守護しとる。 どっちに転んでも奴等が助かる道は無い。だからわざわざ危険を犯して、下に降りる必要も無いって訳だ。さぁ......持ち場に戻るとしよう」 説明を終えると、リーダー格の兵隊はそそくさと持ち場へと戻って行く。 リーダーがこの場から去って行く以上、他の兵隊達もここに居残る理由は無い。 瓦礫を避けながら、そそくさと持ち場へと帰っていく兵隊達だった。
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