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「お姉さんよう、まあ、そんなに焦るな。この先にはまた飛んでもないのが待ち受けてるぞ。いいか、ここから先はとにかく下を見て進め。いいか下だぞ。前と上は見なくていい。この洞窟を生きて出たかったら俺の忠告をしっかりと聞く事だ。解ったな」
「下だな......よし、解った」
圭一もリュックを背負い歩き始めた。
早くも下を見ている。
「おっと待った。先頭はそこのお兄ちゃんだ。君から先に進め」
「えっ、俺が先頭?」
大地は突然の指名に驚きを隠せない。
「何で大作が先頭なんだ? こいつは素人だぞ」
「いいから言う事を聞け。俺の言う事には全て意味がある。俺の言う事が信じられないなら、このチームはここで解散だ。勝手に進んでこの先の化け物の餌食となるがいい」
圭一と美緒は顔を見合わせた。
どうする?
言う通りにするしか無いでしょう?
美緒の目がそのように語っている。
「よし......解った。大作、先頭を行け。俺達が後ろに続くから安心しろ」
「わっ、解った」
美緒、圭一、大作、そして新たに加わった秋葉大地の四人は危険極まりの無い大自然の洞窟内を北へと向かって行軍を開始した。
この先に四人を待ち受けているウェポンは、それまで彼らが遭遇して来たウェポンとは全くの異質。
しかしその特性を知っているのは、この中で大地一人だった。
素人の大作を先頭に歩かせた事には大きな意味がある。大地の実に巧妙な計算がそこには存在していた。
しかしこの後、その事が起因して、このパーティーに大きな亀裂が生じる事となる。
大作の命も風前の灯火。そうとしか言いようが無かった。残念な事ではあるが......
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