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綺麗な赤い花が咲き乱れ、それは広い敷地一面、隅々まで広がっている。
「なんか......凄い神秘的な光景だな」
先頭を歩いていた大作が、感慨深めに語った。
すると大地が、
「早く先に進め。この花畑を抜ければ、お前達が目指す『焼却塔』もすぐ目と鼻の先だ。休んでる暇なんて無いぞ」
このお花畑の先にももが?!
光を失い掛けていた美緒と圭一の目が、その一言で突然光を呼び戻す。
「その通りだ。さあ、先に進もう!」
圭一が皆を鼓舞する。
すると再び大地が、
「ここからは、固まって歩くのは危険だ。一人づつ距離をおいて進む。ほら青年、君から進め。まさか花が恐いわけじゃ無いだろう?」
「あんたバカにしてるのか? いくら俺でも花なんか恐くないわ!」
大地の見下したような発言に、大作の顔は高潮している。彼には彼なりのプライドがあるのであろう。
そんな二人のやり取りに、圭一と美緒はと言うと...... 隅に寄り、ヒソヒソ話を始める。
「どう思う? 何か裏が有るような気がしてならないんだが......」
「このお花畑も何だか妙に不自然だし、ここを抜けるのに一人一人距離をおくっていうのも何か解せないわね。でも......その意は全く解らない」
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