第二十五章 絶望への道程

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元々、植物が育つには日光が必要。しかしここは広大な洞窟内であり、そのようなものが射し込む事は無い。 そんな自然原理を知らぬ美緒と圭一では無かったが、この地底世界自体の特異さを考えると、そんな不思議な植物も有るのかと、然して重要には捉えていなかった。 大作は自分の度胸を誇示するかのように、独り先へ先へとお花畑の中心を突き進んで行く。 何て事ねえじゃねえか...... この奇怪なお花畑に、孤軍入り込んでしまうと、今度は逆に、未だ外に陣する三人が無能に思えて仕方が無い。 大作はこれまでの半生、サバイバルと名の付くような経験は皆無だったと言えよう。 にも関わらずここ数時間、所謂プロの二人と行動を共にした事に寄り、あたかも自分がその仲間入りを果たしたかのような錯覚に囚われていた。 やがてその事が、大きな間違いである事を痛感せざるを得ない事態へと発展していく。 「あれっ、何だ?」 快調にステップを踏んでいた大作の両足が、突如その動きを止めた。   見れば花の茎が右足に絡まっている。足を上げようにも、絡まる茎が邪魔をして、思うように動かす事が出来ない。
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