第二十六章 サバイバル

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「解った......」 エマは高速回転する足にブレーキを掛けた。そして大木に寄り掛からせるようにして珠の身体を静かに降ろす。 「エマさん凄いね......あのアマゾネスを2チームも追い返したんだから......それに比べて私なんか......」 珠の顔に血の気は無い。口を開くのがやっとの状態だ。 「気弱な事言ってんな。これからいくらでも鍛えられるって!」 気丈な言葉とは裏腹に、エマの目には涙が溢れ出していた。 もう助からない...... 誰の目で見てもそれは明らかだ。しかしその事を一番よく解っていたのは珠本人であったに違いない。 「エマさん、今から言う事をよく聞いて」 最期の力を振り絞っているのだろう。消え掛けていた目に再び光が灯る。 「解った」 エマの目も真剣だ。 忌の言葉を全て受け止めてやる! そんな気概が感じられる。 「今、私達が居るこの樹海の真下に、『富士国』と『秋葉秀樹』の大要塞が軒を連ねてる。彼らはその空間を『マンタ洞窟』と呼んでいます。 私の調べでは、そこで生物兵器の生産・自殺志願者への殺人教育・コピー人間の作成など、あらゆる悪事が繰り広げられています」
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