第二十六章 サバイバル

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年若くして、無念の最期を遂げた珠の表情は、意外にも清々しく見える。 全てを出し切った......そんな満足感があったのかも知れない。安らかな死に顔だ。 「珠さん......あんたの意思は確かにこのエマが受け継いだ。安心して旅立ってくれ。秋葉秀樹、絶対に許さん! 首洗って待ってろ!」 エマの目にもはや涙は無かった。メラメラと内面から込み上げて来る闘志が炎となって目に乗り移る。 富士国...... 秋葉秀樹率いる新党富士....... そしてその者が代表を務める『レッドグローブ社』 それが兵器密輸業者である事は言うまでも無い。 更には公安、警察、自衛隊...... もしかしたら......今自分達が戦いを挑んでいる敵は、日本国家そのものなのでは無いか? そんな疑念すら湧いてくる。 自分は『EMA探偵事務所』を立ち上げて以降、生涯『悪』と戦い抜く事を神に誓った。 もし、日本国家が『悪』に染まるなら...... 私は神の命により、甘んじて日本国家に戦いを挑むであろう。エマの顔に迷いは無い。 やがて暗黙の世界たる樹海の森に、煌々とした朝日が差し始める。 それはエマにとって、人生で一番長かった一夜の終焉と共に、更なる壮絶な一日の幕開けとも言えた。
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