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エマは珠の亡骸を木の葉で隠し、目印となる枝を目印に添えた。
全てが片付いたら......
必ず家族の元に届けてあげるから。
少しの間だけここで我慢しててくれ......
エマはひざまずき、亡き珠にそう誓った。
ついさっきまで、共に語り合ってたのに......
今はもう冷たくなっている。
人間の死とは、何でこんなにも呆気ないんだろう。
自分もいつかは死ぬ時が来るんだろうけど、こんな仕事やってる訳だから、多分最期は呆気ないんだろうな。まぁ......是非も無い事だ。
さぁ、頭を切り替えないと!
心の迷いは必ず命取りになる。
自分が珠さんの仇を討たずして、他に誰が討つ!
「よしっ、マンタ洞窟とやらに出発!」
エマはすくっと顔を上げた。
その視線は既に北へと向けられている。
昇り始めた太陽を右手に見ながら、エマは木々の間を疾風の如く潜り抜けて行った。
ダッ、ダッ、ダッ
ダッ、ダッ、ダッ
よくこんな体力が残っていたものだ......
我ながら関心する。
多分......
珠さんが私に力を与えてくれてるんだろうな......
走るスピードに更なる加速を加えて行くエマ。
頭を掠めて飛ぶ鳥を追い抜く勢いだ。
弦が足に絡まろうが、目の前に大岩が現れようが、エマの足を止めるには至らなかった。
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