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ザバザバザバザバ......
ザバザバザバザバ......
滝が発っしている音から察するに、その高さは到底10メートル、20メートルの世界では無い。まるで奈落の底に突き落ちているような爆音だ。
「あっ、ポール! ちょっとここ見てくれ」
突然エマが谷底に顔を向けながら、ポールに呼び掛けた。
「何デスカ? エマサン」
「いいから、ちょっと下を覗き込んでみろ」
そう語ったエマの顔は、何やら薄気味悪い笑みを浮かべている。
何か嫌な予感が......
背後にエマの影を気にしながら、ポールは恐る恐る谷底に顔を突き出す。
「エマさん......押さないで下サイヨ」
「誰が押すか。よく見てみろ......はい、1回」
「絶対押さないで下サイヨ」
「だから押さないって......はい、2回」
「押したら恨みマスよ」
「お前もしつこいな。はい3回、ほれっ先行け!」
パンッ!
「うわぁー!......」
谷底へとダイブするポール。大体、こんな所で引き返す訳が無い。飛び降りる事くらいポールも最初から解っていた事だ。
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