第二十六章 サバイバル

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「よしっ、それじゃあ、あたしも。えいっ!」 エマもポールに続き、谷底へとダイブを敢行。 それは正にロープ無しのバンジージャンプとも言えた。 この谷底の下がどうなって居るのか? 正直、安全の確証などは無い。 しかし珠はエマに 『小川を辿って行けば地下のマンタ洞窟に通じる』と伝えた。 もしこの谷底が、飛び降りて命を落とすような状況ならば、珠はそのようなルートをエマに案内する事は無かったであろう。 ここは珠さんを信じる! エマにはエマの信念があった。 しかし、そんな信念とは裏腹に、実際飛び込んでみると...... 「ウォー、落ちる、落ちる!」 視界はゼロ。 感覚は麻痺し、何だか落ちているのか登っているのかも解らない。そんな状況だった。 「珠さんの嘘つきー! ヒエー!」 一体、どれ程の距離を落下したのであろうか? しかし、地上は決して天空と言う訳では無い。 やがて、その時は嫌でも訪れる。 そして ジャポーン! 身体がバラバラになるような激しい衝撃が、いきなり全身を包み込む。 「のうあー!」 エマは耐えきれずに、思わず奇妙な呻き声を上げた。 そこは滝の下だけあって、エマの予想に違わず身体は見事、水中に落下していた。 かなりの深さだ。 浅く無くて良かったと言わざるを得ない。
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