366人が本棚に入れています
本棚に追加
「よしっ、それじゃあ、あたしも。えいっ!」
エマもポールに続き、谷底へとダイブを敢行。
それは正にロープ無しのバンジージャンプとも言えた。
この谷底の下がどうなって居るのか?
正直、安全の確証などは無い。
しかし珠はエマに
『小川を辿って行けば地下のマンタ洞窟に通じる』と伝えた。
もしこの谷底が、飛び降りて命を落とすような状況ならば、珠はそのようなルートをエマに案内する事は無かったであろう。
ここは珠さんを信じる!
エマにはエマの信念があった。
しかし、そんな信念とは裏腹に、実際飛び込んでみると......
「ウォー、落ちる、落ちる!」
視界はゼロ。
感覚は麻痺し、何だか落ちているのか登っているのかも解らない。そんな状況だった。
「珠さんの嘘つきー! ヒエー!」
一体、どれ程の距離を落下したのであろうか?
しかし、地上は決して天空と言う訳では無い。
やがて、その時は嫌でも訪れる。
そして
ジャポーン!
身体がバラバラになるような激しい衝撃が、いきなり全身を包み込む。
「のうあー!」
エマは耐えきれずに、思わず奇妙な呻き声を上げた。
そこは滝の下だけあって、エマの予想に違わず身体は見事、水中に落下していた。
かなりの深さだ。
浅く無くて良かったと言わざるを得ない。
最初のコメントを投稿しよう!