第二十六章 サバイバル

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何だ?  ここは深海か? 自分の吐いた息が無数の泡となり、視界を煙幕のように遮断する。 ブクブクブク...... ブクブクブク...... なんだか古代図鑑に載っていそうな奇妙な魚が悠々と泳いでいるみたいだが...... もしかして古代にタイムスリップしたのでは無いか? そんな錯覚を起こすくらいだ。 ヤバい! 苦しくなってきた。 浮上しないと! エマは突然我に返り、急上昇を始める。 いきなり水中に落ちた訳だから、さほど肺に酸素も貯めてはいない。 息がもたないぞ! ヤバい、ヤバい、ヤバすぎる! 身体をバタつかせ、水を飲み込みながらも、必死に上昇を敢行するエマ。 神はそんなエマを見放さなかったのだろうか? やがて、頭上に光が差し始めた。 あとちょっとで水面だ...... 何とか間に合うのか?! そして、 ザバーン! 「ハァ、ハァ、ハァ」 ギリギリセーフだ。 助かった! ああ......良かった、良かった。 などと、一人で健闘を讃えている場合では無かった。 「ポール! ポールはどこだ?!」 エマは突然我に返り、周囲を見渡す。
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