第二十六章 サバイバル

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次にポールの口元に耳を近付けてみる。 しかし、ポールの吐く息がエマの耳をくすぐる事は無かった。 なんと! 息して無いじゃんか! 脈は? 今度は手首に指を当てみる。 無い! 脈が無い! 心肺停止状態だ! 救急救命の開始! まずは心臓マッサージ! ハイ、1、2、3...... エマは薄暗い地底湖の畔で、心臓マッサージを開始した。 両の手のひらを重ね、肋骨と肋骨の間をリズミカルに圧し続ける。 「心臓動けって!」 やがて手を止めて再び脈をチェック。 結果は...... まだ脈が戻っていない! 「くっそー! 今度は人工呼吸だ! 有り難く思えよ!」 エマはそう叫ぶと、躊躇無く、ポールの唇に自身の唇を重ねた。 そして、 フゥー、フゥー、フゥー...... フゥー、フゥー、フゥー...... ............ ............ ............ しかし、 呼吸は戻らない...... ところが、 ポールの胸に添えていたエマの手には、確実に心臓の鼓動が伝わって来ていた。 えっ、? ??? 心臓動いてる? 見れば、 ポールの顔が明らかにニヤついているでは無いか。 「オメー、息止めてやがったな!」 エマは素早く唇を離すと、 パシッ! 見事、その弛み切った顔に平手打ちを食らわせた。 「グエッ!」
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