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するとポールは......
「珠サン......珠サン......先に逝っちゃうナンテ......酷いヨ......オレを置いてかないでクレヨ......珠サン......珠サン」
どうやら......
意識がまだ混同しているようだ。
そして
目には一杯涙を溜めていた。
それを見たエマは、
ポール......
強がってても、やっぱお前も辛かったんだな......
私だけじゃ無かったんだ......
あたしを心配させない為に、必死で耐えてたって事か......成長したな、お前も......
瞬間的にいきり立ったエマの表情も、今は再びマリア様の顔に戻っている。
「さぁ、ポール起きれるか?」
エマは耳元でそう声を掛けると、優しくその身体を抱き起こした。
するとマリア様の声が耳に届いたのか、ポールはゆっくりと虚ろな瞳を開けた。
「ああ......玲子サン......」
事もあろうか!
ここで還暦を迎えたその者の名を口にするか?
きっと、まだ視界がはっきりと戻っていなかったのだろう。
「ア、ア、アホかお前は?! ま、間違えるにも程があるぞ!」
エマは顔を真っ赤にしてポールの身体を突き飛ばした。
するとポールは、
「ナッ、ナニするんデスカ金山社長!」
............
............
もう、
どうでもいいわ......
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