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さてと......
取り敢えずは『マンタ洞窟』に潜入を果たした。
でもどうやってこの要塞の中に入って行けばいいんだ?
見れば洞窟の空間には、何やら頑丈そうな建物がびっしりと詰まっている。
外から見る限り、猫の子一匹入む隙は無さそうだ。その要塞の外郭は、正に鋼鉄の鎧で覆われているかのような頑丈さを誇っていた。
『マンタ洞窟』の中に入ったからとは言え、この要塞の中に入らなければ、何の意味も無かった。
「取り敢えずは、少し洞窟内を歩いてみよう。必ずどこかから、入り込めるスペースが有る筈だ」
二人は周囲を注意深く観察しながら、一歩一歩外周の検索を始める。
ザッ、ザッ、ザッ
ザッ、ザッ、ザッ
道なき道を慎重に突き進んで行く二人。
進めども、進めども、視界から地底湖が消える事は無かった。
「この地底湖、やけに広いな......」
独り言のようにそう呟いたエマは、水面に写し出された自身の顔を何気に見詰めた。
あれっ、髪の毛生えてきてる......
そう言えば......
鏡なんか久しく見て無かったな。
まあ、生えて来て当たり前だ......
でも、
ちょっと嬉しいわ......
エマは今年で25才。
一番脂が乗った年頃と言えよう。
これまで封印して来た感情のどこかに、まだ乙女心が残っていたのだろうか。
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