第二十六章 サバイバル

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そんな嬉しそうなエマの表情を、温かい眼差しで見詰めるポール。 エマさんもやっぱ女なんだな...... 男である自分が、しっかりとエマさんを守らなければ! エマに守られっ放しの男たるポールは、無謀にもそんな決意を固めるのであった。 「おやっ?」 すると、 緩み掛けていたエマの表情が突然引き締まる。 その時エマの視線は、地底湖の水面に浮かぶ無数のガラクタに向けられていた。 「何だあれは?」 見れば、 テーブル、机、マット、扉、椅子、事務棚...... 事務所に置かれているようなあらゆる物品が、不自然にも、水面にプカプカ浮いているでは無いか。 すると今度はポールが、 「エマサン、上見てクダサイ!」 頭上に見える何かに、異変を捕らえたようだ。直ぐ様エマも視線を頭上に移す。 「なんと! 床に穴が開いてるじゃんか!」 見れば距離にして30メートル程度。 要塞から競り出した部屋の床に、ポッカリ穴が開いてるでは無いか。 それはこの離れた場所から見ても、その部屋の天井がはっきり見える程の大きな穴だった。 この穴の開き方は、明らかに爆破されたものだ...... 恐らく床にダイナマイトの類いをセットして、破壊したに違い無い。まさか要塞の連中が、自ら行った訳では無かろう。 もしや...... お前達...... 来てるのか?
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