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その時、エマの頭には二人の顔が浮かび上がっていた。
圭一......
美緒......
お前達がもし、ここに来ているとしたら......
誘拐された桃ちゃんもここに居るって事なのか?
正直、そこまでは解らない。
いずれにせよ、要塞の中に入っていけば嫌でも解る事だ。
やがてエマはゆっくりと顔を上げた。
そして静かに口を開く。
「おい、ポール。要塞の中に入り込むルートが見付かったぞ」
「それって......マサカ?」
「そのマサカだ。あの穴から要塞内に入り込む」
「あそこからハイル?......どうやってあんな高い所まで行くんデスカ?!」
「登るに決まってるだろ。他にどうやるって言うんだ。いいからお前はそこで待ってろ」
そう言い放つと、エマはツカツカと要塞の壁に近付いて行った。
「壁伝いに登ってくツモリ? 命綱もナシデ?!」
ポールは、信じられない!
そんな表情を浮かべている。
「こんな事も有ろうかと思って、最近ロッククライミング始めてたんだ。練習には丁度いい高さだ。落ちたら捕まえてくれ」
エマはニヤリと笑う。
「30メートルの高さっテ......ビル10階分位はありますヨ。落ちて捕まえられるんデショウカ?」
「あたしに死んで欲しく無かったら、捕まえる事だな。でも大丈夫、落ちないよ。5割がた」
5割がた......
つまり単純計算で、2回に1回は落ちると言う計算が成り立つ。
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