第二十六章 サバイバル

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その時、エマの頭には二人の顔が浮かび上がっていた。 圭一...... 美緒...... お前達がもし、ここに来ているとしたら...... 誘拐された桃ちゃんもここに居るって事なのか? 正直、そこまでは解らない。 いずれにせよ、要塞の中に入っていけば嫌でも解る事だ。 やがてエマはゆっくりと顔を上げた。 そして静かに口を開く。 「おい、ポール。要塞の中に入り込むルートが見付かったぞ」 「それって......マサカ?」 「そのマサカだ。あの穴から要塞内に入り込む」 「あそこからハイル?......どうやってあんな高い所まで行くんデスカ?!」 「登るに決まってるだろ。他にどうやるって言うんだ。いいからお前はそこで待ってろ」 そう言い放つと、エマはツカツカと要塞の壁に近付いて行った。 「壁伝いに登ってくツモリ? 命綱もナシデ?!」 ポールは、信じられない! そんな表情を浮かべている。 「こんな事も有ろうかと思って、最近ロッククライミング始めてたんだ。練習には丁度いい高さだ。落ちたら捕まえてくれ」 エマはニヤリと笑う。 「30メートルの高さっテ......ビル10階分位はありますヨ。落ちて捕まえられるんデショウカ?」 「あたしに死んで欲しく無かったら、捕まえる事だな。でも大丈夫、落ちないよ。5割がた」 5割がた...... つまり単純計算で、2回に1回は落ちると言う計算が成り立つ。
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