第二十六章 サバイバル

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「あらよっ!」 「あらよっ!」 「あらよっ!」 同じ過ちを2度繰り返すようなエマでは無かった。慎重に克つ、迅速に登り詰めていく。 正直な子供が、このエマの様子をそのまま口にしたとしたならば、恐らく指をさして『スパイダーマン!』とでも叫んでいたかも知れない。 そして...... 3メートル 2メートル 1メートル やがてエマの右手は、穴の開いた床をしっかりと掴み込んだ。そして身体を床の上へと一気に投げ出す。 バサッ。 天空へ到着だ。 さして息も上がっていない。それどころか、余裕の笑みすら浮かべている。 『油断しなけりゃ、こんなの朝飯前』そんな事を言ってるような表情だ。 額の汗を拭うエマ。 フウッ、何とか辿り着けたようだ......  因みに、 下を覗き込んでみると、ポールが豆粒のように見える。ビル10階分の高さともなれば、普通なら足がすくむ高さだ。 「オオッ! エマサンが登り切った! スッ、スゴイ......」 思わず感嘆の声を上げたボール。 しかし、そんな喜びも束の間、今後は一気に不安が押し寄せてくる。 自分はどうすればいいんだ? まさか『お前も登って来い!』 なんて無茶な事言わないよな?...... いや、エマさんなら言いかねないぞ。 まんざら有り得ない話でも無いだけに、恐怖がボールの足をすくみ上がらせた。
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