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「あらよっ!」
「あらよっ!」
「あらよっ!」
同じ過ちを2度繰り返すようなエマでは無かった。慎重に克つ、迅速に登り詰めていく。
正直な子供が、このエマの様子をそのまま口にしたとしたならば、恐らく指をさして『スパイダーマン!』とでも叫んでいたかも知れない。
そして......
3メートル
2メートル
1メートル
やがてエマの右手は、穴の開いた床をしっかりと掴み込んだ。そして身体を床の上へと一気に投げ出す。
バサッ。
天空へ到着だ。
さして息も上がっていない。それどころか、余裕の笑みすら浮かべている。
『油断しなけりゃ、こんなの朝飯前』そんな事を言ってるような表情だ。
額の汗を拭うエマ。
フウッ、何とか辿り着けたようだ......
因みに、
下を覗き込んでみると、ポールが豆粒のように見える。ビル10階分の高さともなれば、普通なら足がすくむ高さだ。
「オオッ! エマサンが登り切った! スッ、スゴイ......」
思わず感嘆の声を上げたボール。
しかし、そんな喜びも束の間、今後は一気に不安が押し寄せてくる。
自分はどうすればいいんだ?
まさか『お前も登って来い!』
なんて無茶な事言わないよな?......
いや、エマさんなら言いかねないぞ。
まんざら有り得ない話でも無いだけに、恐怖がボールの足をすくみ上がらせた。
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