第二十六章 サバイバル

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すると、 「おい、ポール。何か探して来るからちょっと待ってろ」 エマは遥か天空から、そのように叫ぶと、直ぐ様その姿を消した。 探して来るって......一体何を?  ロープでも見付けてくるのか? 仮にそんな長いロープが有ったとして、どうやって自分の身体を引き上げるつもりなんだ? 貧弱に見えても、70キロは有るんだけど...... いくらエマさんでも、自分の身体を30メートルも引き上げるのは無理だろう...... まさかロープを伝って自分で登って来いってか? エマさんごめんなさい。 ビル10階分は無理です...... ポールが、ああでも無い、こうでも無い...... そんな事ばかりを考えていると...... 突如、 バシャーン! 地底湖の水面に、激しい水しぶきが立ち上がった。 「なっ、なんダ? サメでも居るノカ?!」 一瞬何が起こったのかも解らず、慌てふためくポール。 よくよく見れば、何かの太いホースらしきものが、天空の部屋から地底湖までぶら下がり落ちているでは無いか。どうやら消火栓のホースのようだ。 すると、 「おい、ポール! そのホースの先端を腰に巻け!」 「エッ、まさか、エマさんが引き上げてクレルんデスカ?!」 いくら何でもそれは無理だろう。 途中で『やっぱ止めた』とか言って、手を離されるのが関の山だ。 まぁ......落とされたとしても、地底湖に落ちるだけだから、死にはしないだろうけどな......かなり深そうだし。
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