第二十六章 サバイバル

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バコンッ! ドカンッ! ガシャガシャ! ポールの身体は、一気に部屋の中に吸い込まれると、そのまま引きずられ、太い柱に激突した。 濡れた足では、僅かに残された床面にエッジを効かす事が出来ない。 「スッ、スベルー!」 やがて、ポールの身体は柱の後ろをズルズルとすり抜け、再び床の穴へと引き寄せられて行く。 腰に巻かれたホースの先には、未だ100キロ超の金庫がぶら下がっているのだ。身体が穴に引き寄せられていくのは、正に自然の原理と言えた。 「エマサン、落ちル!」 「掴まれポール!」 咄嗟の気転で、両手を差し出すエマ。 そして、それにしがみ付くポール。 しかし、ポールとエマの体重を合わせても、金庫の重量には及ばなかった。 いよいよ地底湖へ舞い戻りか?  二人が諦め掛けたその時だった。 幸運にも、ポールの腰に巻き付けられていたホースが、引きずられた拍子に僅かな弛みを見せた。 「オオ、ラッキー!」 そのまま見事ほどけるかと思いきや、ホースはポールのズボンとパンツを巻き込んで、そのまま地底湖へと消えていった。 地底湖への落下は免れた。 しかし、 「アア、パンツがぁー......」 「お前は変態か?!」 咄嗟に顔を背けるエマ。 それに対し、ボールは慌てて落ちていたベッドのシーツを腰に巻き付けた。よくそんな物が落ちていたものだ。
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