366人が本棚に入れています
本棚に追加
バコンッ!
ドカンッ!
ガシャガシャ!
ポールの身体は、一気に部屋の中に吸い込まれると、そのまま引きずられ、太い柱に激突した。
濡れた足では、僅かに残された床面にエッジを効かす事が出来ない。
「スッ、スベルー!」
やがて、ポールの身体は柱の後ろをズルズルとすり抜け、再び床の穴へと引き寄せられて行く。
腰に巻かれたホースの先には、未だ100キロ超の金庫がぶら下がっているのだ。身体が穴に引き寄せられていくのは、正に自然の原理と言えた。
「エマサン、落ちル!」
「掴まれポール!」
咄嗟の気転で、両手を差し出すエマ。
そして、それにしがみ付くポール。
しかし、ポールとエマの体重を合わせても、金庫の重量には及ばなかった。
いよいよ地底湖へ舞い戻りか?
二人が諦め掛けたその時だった。
幸運にも、ポールの腰に巻き付けられていたホースが、引きずられた拍子に僅かな弛みを見せた。
「オオ、ラッキー!」
そのまま見事ほどけるかと思いきや、ホースはポールのズボンとパンツを巻き込んで、そのまま地底湖へと消えていった。
地底湖への落下は免れた。
しかし、
「アア、パンツがぁー......」
「お前は変態か?!」
咄嗟に顔を背けるエマ。
それに対し、ボールは慌てて落ちていたベッドのシーツを腰に巻き付けた。よくそんな物が落ちていたものだ。
最初のコメントを投稿しよう!