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「おい、お前ちょっと下覗いてみろ」
一番後ろから、再びリーダーが指示を下す。
「へいへい......」
何か嫌な予感が......
でもリーダーからの指示だから、
仕方ねえな......
兵士は穴のすぐ手前で膝を付く。
そして恐る恐る、穴の下に顔を出してみた。
すると、
「こんにちわ。今日も冷えますね」
床の裏側にスパイダーマンの如くへばり付いた美しき女性が、にこやかに話掛けて来たでは無いか。
「ああ、こんにちわ。確かに冷えますね」
つられて、返事を返す兵士。
「おい、お前誰と話してんだ?」
「なんか......綺麗な女性が、『こんにちわ』って......」
「なんだって?!」
他の4人の兵士も何事かと、慌てて穴の側へ集まって行く。
すると、突然穴の下からすくっと手が伸びて来たかと思えば、次の瞬間には先頭の兵士が、穴から地底湖へと落下していった。
「ひえー!」
バシャーン。
そして続けざまに、
バシャーン!
バシャーン!
バシャーン!
柱の後ろに隠れていた誰かが、立て続けに背後から3人の兵士を蹴り落としたようだ。
気付けば、床の裏に張り付いていた美しき女性も目の前で仁王立ちしている。それは余りにも一瞬の出来事だった。
「お前達は一体何なんだ?!」
一人管理室に取り残されたリーダーが、涙声で叫んだ。
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