第二十六章 サバイバル

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「ちょっとこの要塞にヤボ用が有ってね。そうそう、因みに床に穴開けたの誰?」 リーダー兵士は、もうすっかり戦意を失っている。丸腰の二人に対し、既に銃を前に投げ出していた。 『降参!』そんな意思表示に他ならない。 「ゴッツイ体格のお兄さんと、黒メガネのお姉さんだ」 !!! やっぱり! 圭一と美緒だ。 「そっ、そんで、二人はドコヘ行った?!」 期待通りの言葉に興奮を隠し切れないボール。 顔を紅潮させて更に問い正す。 「最北の『焼却塔』へ女の子を救出に行くって言ってた」 もう何でも正直に話すリーダー兵士。よっぽど殴られるのが嫌なのだろう。 『大要塞』への忠誠心は極端に低いと思われる。恐らく、ただ金で雇われているだけの傭兵の類いに違いない。 「それで床に穴を開けて、外から『焼却塔』に向かったって訳だな?」 「その通り」 リーダー兵士は、またしても素直に首を縦に振った。 「エマサン......ドウシマス?」 エマは腕を組み、そして考えた。 目を瞑り、自分の世界に入り込む。 我々の最大のミッションは、この『大要塞』を壊滅させる事に他ならない。 しかし桃の救出も、当然の事ながら重要なミッションの一つだ。 美緒達に今すぐ合流して、桃救出の後『大要塞』を破壊するのも一つの手。 また桃救出は美緒らに任せ、自分らは『大要塞』の破壊に集中する事もまた一つの手立てと言えた。
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