第二十六章 サバイバル

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「お前がその丘を一歩越えた瞬間に、お前の身体は屍と化すだろう」 それは低く、太く、そして殺気みなぎる大地の声だった。 圭一の身体は、まるで電撃が走ったかのように、急停止を見せた。 「なんだと......」 「ほらっ、早く戻って来いって。ここに座れ。ちゃんと説明してやるから」 「......」 圭一は無言で美緒の顔を見詰めた。 それに対し、 美緒は小さく首を縦に振る。 取り敢えずは話を聞きましょう...... そんな合図であるに違いない。 「解った......」 圭一と美緒は大地に言われるがまま、ビニールシートの上に腰を下ろす。 丘の向こう側から見れば、この場所は完全な死角となる場所だ。それもきっと大地の計算なのだろう。 「それで、どう言う事なんだ?」 実に冷淡な口調だ。 お前を信用した訳では無い...... そんな意の現れなのだろう。 「この丘の向こう側......やけに明るいと思わんか?」 言われて見れば確かに明るい。 『大要塞』の中から照らし出される灯りが、周囲の洞窟内を煌々と照らし出している。 圭一と美緒は互いに顔を見合わせた。 そして美緒が口を開く。 「今まで歩いて来た洞窟内は、とにかく薄暗かった。でもこの丘の向こうは確かに明るいわね。それとこれとはどんな関係が有るのかしら?」
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