第二十六章 サバイバル

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「はっきり言おう。この丘の向こう側には、最強にして最悪の敵が潜んでる」 「最強にして最悪だと?」 「その通り。遺伝子操作して、コントロールが効かなくなった人間共が縄張りを張っている」 「人間だって! しかも住んでるだと」 「そうだ。ここの掟を守らなかったならず者兵士達だ。言わば罪人って事だな。 そいつらをまとめて生物兵器に仕立て上げようとした結果がこれだ。 連中はこの要塞から逃げ出したはいいが、結局この洞窟は完全封鎖されてる訳だから、外へ出る事が出来ない。 どうしようかと考えている内に、結局この丘の先に住み着いちまったって訳だ。 俺の調べでは、男が5人。奴等は何でも食う。 川の魚、木の葉、動物......それと人間。何でもかんでも手当たり次第に食いつくから実に危険だ。 丘を越えたら、屍になると言った意味が解った だろう」 大地は、背中に背負っていた大型リュックから、複数のサプリメントを取り出しながら、悠々と語った。 「それで、どうやってここを通り抜けるつもりなんだ? まさか、無策って訳でも無いんだろう」 「勿論、策は有る。しかし、犠牲を伴うぞ......フッ、フッ、フッ」 不適な笑みを浮かべる大地。 そして、その視線は美緒に向けられていた。
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