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「あたしの顔に何か付いてるかしら? やらしい目で見ないで欲しいわ。この変態野郎!」
大作を死なせたの事が未だ許せないのだろう。事有る毎に喰って掛かる美緒だった。
しかし大地は表情一つ変えない。
そんないきり立つ美緒を嘲笑うかのように、淡々と言葉を続けた。
「奴等は遺伝子操作を施されたと言っても、まだ一応人間である事には変わり無い。
当然の事ながら、精力も旺盛だ。しかも要塞を出てからと言うものの、全く女を味わっていない。俺の言いたい事が解るだろう......フッ、フッ、フッ」
話が終わるか終わらないかの内に、圭一は大地の襟首を掴み上げていた。
その身体はブルブルと震え、今にも殴り掛かりそうな勢いだ。
「貴様っ!」
「君は一体何を怒ってるんだ? 今、私は犠牲を伴うと言っただろ。
大体、私は君に話してるんじゃ無い。そちらのご令嬢に話してるんだ。
母親として、自分の娘の命より大事なものがあるとでも言うのか?
ああ、そうか......本当の母親じゃ無かったな。これは失敬した。ハッ、ハッ、ハッ」
すると、
美緒は驚く程冷静に、そして驚く程に優しく大地に話し掛けた。
「圭一さん、その手を離して。大地さん、あなたの策を詳しく聞かせて下さい」
予想だにもしない美緒の反応に、圭一は思わず言葉を失った。
美緒さん......
ダメだ......
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