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娘の命より大事なものなんて有るのか?......
本当の娘じゃ無かったな......
大地の発したそれらの言葉は、まるで美緒の心を抉り取るかのように、強烈なダメージを与えていた。
実に腹立たしい話ではあるが、それは全て大地の目算通りと言わざるを得ない。
大地は尚も不適な笑みを浮かべながら、再び口を開いた。
「あんたにまず一人でこの丘を越えて貰う。連中は目の色変えてあんたの所に群がるだろう。その隙に俺達2人は静かに通り抜ける。それだけだ。
やつらがあんたに対してどう言う行動に出るかは正直未知数だが、少なくとも命を取るような事は絶対にしないだろう。なんせ貴重な異性だからな。フッ、フッ、フッ」
「ダメだ美緒さん。そんな事は俺が絶対に許さん!大丈夫......俺が奴等を一人で蹴散らしてやるから!」
圭一は大地の話も聞こうともせず、突然立ち上がった。一人で丘を越えるつもりだ。
もう二度と美緒さんに女の武器は使わせない!
それはさっき牢獄を出た時に、圭一が固く誓った事だった。
すると、
「他に策が無い訳でも無い」
大地はサプリメントを口に頬張りながら、ボソボソと呟いた。
「なに?」
圭一はピタリと足を止める。
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